ビンコムリテール(VRE)
《企業紹介》
同社の起源はベトナム最大のコングロマリットであるビングループが2004年に立ち上げたショッピングモールである。ビングループの都市開発プロジェクトを追走すると同時に、ブランド力に磨きをかけて独自の展開も進めた結果、2025年末時点でベトナム全土に90のショッピングモールを展開している。2024年4月にビングループが保有株式の大部分を売却したため、グループから離脱することとなったが、引き続きビングループの開発物件へのショッピングモールの展開は続けるほか、社名を変更せずにブランドを継続することにしている。
《2026年1-3月期業績》
2026年1-3月期の売上高は前年同期比7.6%増の2.2兆VND(ベトナムドン)だった。ベトナムの個人消費の拡大に支えられ、同社が運営するショッピングモールも好調に推移した模様であり、賃貸収入は同9.0%増の2.2兆VNDと堅調だった。新規の大型モールの貢献がなかったことから賃貸床面積の増加による貢献は限定的だった。しかし、引き続き稼働率の引き上げを進めたほか、賃料の引上げや賃料の徴収方式変更(売上連動型の導入など)によって着実に売上高を増加させている。積極的なモール内店舗の入れ替えによって集客力の向上を図るといったショッピングモールの魅力向上策なども功を奏し、高級ブランドの出店希望も増加傾向にあるようだ。賃料の引き上げや徴収方法の変更の交渉も進めやすかったとみられる。
粗利益率が同1.7%ポイント低下の54.7%となったため、粗利益は同4.3%増の1.2兆VNDにとどまったが、投資用不動産の売却収入を1,847億VND計上したこと、金融収支の受取超過額が前年同期の3,824億VNDから6,305億VNDに大きく増えたこと、販売費および一般管理費が同13.5%減の1,494億VNDに減少したことなどにより営業利益は同36.0%増の1.9兆VNDと大幅に増加した。税前利益は同35.5%増の1.9兆VND、純利益は同36.4%増の1.6兆VNDとなった。大型モール開業の端境期が続いているが、オペレーションの質を向上させることによって2025年4-6月期からは4四半期連続で税前利益の前年同期比二桁増が続いている。

《株価の推移》

図表2は同社の株価とVN指数について、2025年末の終値を100として指数化したものである。同社の株価は年初から概ねVN指数をアンダーパフォームしたが、4月下旬以降にキャッチアップの動きをみせている。5月7日終値ベースの2025年末比変動率はVN指数が7%の上昇となっているのに対して同社の株価は8%の上昇となっている。また、5月7日終値36,500VNDで計算した時価総額は82.9兆VNDで、これは2025年12月期実績の純利益6.4兆VNDの13倍の水準となっている。
同社は2026年12月期について、売上高を前期比14.6%増の10兆1,320億VND、税引後利益を同16.6%減の5兆3,750億VNDと計画している。増収減益の計画となったことが株価パフォーマンスの足かせになっている可能性があるが、税引後利益が減少する計画になっているのは、前期にハノイのビンコムセンター・グエンチータンショッピングモールを運営する子会社の売却益を計上した反動であることには注意する必要があるだろう。また、2026年1―3月期実績の進捗率は売上高が23%、税引後利益が30%となっており、利益水準は計画を上回る進捗となっているとみることもできる。
高い経済成長に裏打ちされたベトナムの個人消費の拡大が見込まれているため、2026年以降にベトナムの主要都市における商業施設開発は70ヵ所、300万平方メートルが計画されているようだ。これまでの業績からみて同社のショッピングモールのブランド力や競争力は着実に向上していると考えられ、ベトナムにおけるショッピングモールの拡大は、同社の業績成長の追い風になる可能性は高いだろう。この点が再び評価されれば株価パフォーマンスの一層の改善が期待できるだろう。
ニュース証券株式会社 【関東財務局長(金商)第138号】
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